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未来を先導するインテリジェントコンタクトセンター構築術

“お客様が求める瞬間に、最適な回答を。” AIエージェントによる24時間365日、途切れない高度な顧客体験。従来の有人対応とAI支援を超え、完全自動化で顧客対応を実現するインテリジェントコンタクトセンターは、ビジネス成長の新たな駆動力となります。

Teradata Japan
Teradata Japan
2025年7月14日 5 分で読める

現代の顧客は、あらゆるチャネルで瞬時の応答を求めます。電話・メールはもちろん、チャットやSNSまで、問合せは多様化し、量も増え続けています。待ち時間への不満は顧客離脱を招き、ひとたびSNSでネガティブな体験が拡散すれば、企業ブランドに大きなダメージが及びます。一方で、人手だけでは膨大な量の問合せを同時にカバーできず、人件費は高騰の一途をたどっています。こうしたジレンマを解消する解は、「AIによる完全自動化」にほかなりません。

完全自動化コンタクトセンターがもたらす4つの“非連続価値”

AIを活用した完全自動化は、従来の枠組みを超えた以下の4つの飛躍的成果(非連続価値)を同時に実現できる可能性が広がります。

  1. 顧客満足度の飛躍的向上 ー AIエージェントが顧客証跡や過去履歴をリアルタイム参照し、“その人”に最適化された回答を即時提供。NPSやCSATの向上が期待できます。
  2. 運用コストの大幅削減 ー 定型問合せの完全自動処理で、1件あたりの対応コストを大幅に削減。繁忙期でも追加人員なしでスケーリング可能です。
  3. オペレーション効率の革新 ー 通話要約、CRM更新、ACW(アフターコールワーク)までAIが担い、後処理時間を大幅短縮。現場スタッフはより高度な課題解決に注力できます。
  4. 新たな収益機会の創出 ー 会話中の購買意欲をAIがリアルタイム検知し、アップセル・クロスセルを提案。年間売上を押し上げる成功事例も生まれています。

 完全自動化の壁──乗り越えるべき5大チャレンジ

高い投資対効果を期待できる一方で、期待される品質のインテリジェントコールセンター実現には載る超えるべき壁が存在します。

  1. あらゆる問合せパターンの習熟 ー 業界固有の専門知識や製品ラインナップを網羅するには、膨大かつ高品質な会話データの準備が不可欠です。
  2. 自然言語理解の精度担保 ー ノイズ、方言、スラング、専門用語──顧客の声を漏らさず正確に解釈するNLUの高度化が鍵を握ります。
  3. コンプライアンスとガードレール ー 個人情報保護から業界規制まで、AIエージェントの回答動線に厳格なルールを設定し、常に監査可能な体制を構築しなければなりません。
  4. 説明可能性(XAI)の確保 ー “なぜその回答になったのか?”を管理者や監査部門が追えるよう、判断根拠を可視化するダッシュボードが必須です。 
  5. レガシーシステムとのシームレスな統合 ー CRMやERP、社内知見データベースとのリアルタイム連携で、問い合わせ履歴や顧客プロファイルを瞬時に引き出せるAPIエコシステムを整備します。

完全自動化に挑む企業が直面する精度問題

AIへの期待値は高まる一方です。しかし、汎用LLM(大規模言語モデル)の正答率は80%前後である現状では、完全自動化を担保する品質にはほど遠い状況です。

汎用LLMが示す約80%の正答率は、一見すれば高性能のように思えます。しかし、コンタクトセンターのような「ミスが許されない現場」では、残り20%の誤答や未回答が以下の深刻なリスクを招きます。

  • 顧客信頼の毀損 - 誤った情報や的外れな提案は、即座にSNSで拡散。ブランドイメージを一気に失墜させる。
  • オペレーションコストの増大 ー 誤答のフォローアップや再エスカレーションに要する、人手での再処理工数が膨大。
  • コンプライアンス違反リスク ー 金融・医療など厳格な規制業界では、一度の誤情報提供で法的制裁や巨額の罰金を招く可能性。
  • 社員モチベーションの低下 ー AIの誤答を人間オペレータが修正し続ける「AI疲れ」が現場にストレスをもたらし、離職リスクを高める。
これらを防ぐには、単に「LLMを導入する」だけでは不十分です。

目的特化型マルチエージェント──実現性を飛躍的に高める鍵

安全かつスピード感を両立するには、単一の“万能AI”ではなく、役割に特化したエージェントの協調運用を行うエージェント型AIの採用が最適解です。例えば、下記のようなエージェントを協調運用することで、インテリジェントコールセンターの実現が見えてきます。

  • 振り分けエージェント ー 最初の問合せ分類を自動化し、専門エージェントへルーティング
  • FAQエージェント ー 定型的な質問を即座に解決し、回答履歴を継続学習
  • エスカレーションエージェント ー 複雑・緊急案件を検知し、迅速に有人対応へバトンタッチ
  • セールスエージェント ー 会話中の購買兆候を捉え、パーソナライズド提案を実行
  • アフターコンタクトワーク(ACW)エージェント ー 通話要約からCRM連携、タスク作成までを自動処理し、後処理の手間を激減
それぞれが得意領域に集中し、相互に補完し合うことで、全体最適化を実現します。

まとめ──「80%」で終わらせない進化へ

汎用LLMの正答率では、AI導入の出発点にすぎません。顧客期待を超える“あと一歩”を実現するには、業界知識、対話管理、継続学習、説明可能性を極限まで磨き上げた目的特化型のエージェント型AI導入が必須です。

Teradataは、データ×AIの最新ソリューション「Teradata Vantage AI Offering」で日本企業のインテリジェントコールセンター構築、さらにはAIドリブン経営を支援しています。

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