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暗黙知をAIで形式知化し、企業の競争力を引き上げる方法

“職人の勘”を組織の資産に変える──AIの力で言語化困難なノウハウを可視化し、ビジネス成果に直結させましょう。

Teradata Japan
Teradata Japan
2025年7月14日 4 分で読める

企業の強みは、言葉にしづらい「暗黙知」にあります。熟練者が無意識に行う動作や洞察、顧客とのやり取りから得た直感的な判断など、マニュアルだけでは伝わらない貴重なノウハウが散逸しがちです。本記事では、まず暗黙知とは何かを解説し、それを形式知に変えることで得られるビジネス上の価値を紐解きます。そして、その過程で直面する落とし穴を具体的に紹介し、最後にAIがどのようにしてこれらの課題を解決し、貴社の成長を後押しするのかをご紹介します。

暗黙知とは何か?

暗黙知は、経験や習熟によって身についた感覚的・直感的な知識です。製造ラインの熟練溶接工が無意識に行う微細な手の動きや、顧客折衝で瞬時に相手の本音を読み取って最適な提案を行う力など、言葉にできないがゆえに社内で共有しにくい価値があります。これに対し、マニュアルやチェックリストのように誰でも目に見える形に落とし込んだ「形式知」は、組織全体での再現性を高め、新人教育や品質管理の基盤となります。

形式知化がもたらすビジネス価値

暗黙知を形式知へと昇華させることで、企業は以下のような成果を得られます。

  • 新人教育のスピードが飛躍的に向上し、早期に即戦力を生み出せる。
  • 個人依存を排した仕組みが品質のばらつきを抑え、安定した製品・サービスを提供する。
  • ナレッジを横展開できるため、現場全体の生産性と課題解決力が向上する。
  • 蓄積された知見が新製品開発や新市場開拓のアイデア源となり、イノベーションを加速する。
投資対効果(ROI)の向上だけでなく、市場対応力の強化や従業員の満足度向上にもつながります。

 

形式知化の難しさ

暗黙知を言語化し、誰もが再現できる形式知にまとめるには、数々のハードルがあります。

まず、職人の経験的な“勘”を言葉に落とし込む作業は非常に高い専門性が求められ、一人ひとりの思考パターンを丁寧に解きほぐす必要があります。また、手順を詳細に書きすぎると煩雑になり、逆に粗すぎると再現性が落ちるため、適切な粒度の調整が欠かせません。さらに、ある現場では効果的だったノウハウが別の環境では通用しないケースも多く、適用範囲を明確にした上での再調整が必要です。

加えて、インタビューや観察、ドキュメンテーションに要する時間とコストは膨大です。センサーやログから得られるデータにもノイズや欠落があり、分析の精度を維持するための前処理には高度なデータマネジメント基盤が不可欠です。そして「属人性を良しとする文化」が根強い組織では、ナレッジ共有へのモチベーションが維持しにくく、変革を後押しするリーダーシップが求められます。最後に、深層学習モデルが生み出す判断を説明可能にするXAI(説明可能AI)の仕組みづくりも見逃せないポイントです。

AIが果たす役割

こうした壁を乗り越えるために、AIは以下の四つのステップで強力にサポートします。

  1. マルチモーダルデータの取得と解析 ー IoTカメラでの映像、センサーデータ、作業ログ、さらには音声や会話の記録まで――あらゆる情報を統合し、熟練者の動作パターンや環境条件を高精度に抽出します。
  2. 自然言語処理による理由づけの言語化 ー 会話ログやレポートから「なぜその判断をしたのか」をNLPが解析し、日本語特有の曖昧表現にも対応したカスタムモデルで自然な言葉に落とし込みます。
  3. 知識グラフと推論エンジン ー 抽出した要素を因果関係やワークフロー単位で構造化。知識グラフ上で多次元検索やシミュレーション推論を行い、新たな応用シナリオや改善案を自動生成します。
  4. 継続学習による最適化 ー 品質、コスト、納期といったKPIをもとに、強化学習やベイズ最適化で最適手順を自動生成。PDCAサイクルをAIが回すことで、現場の改善スピードを飛躍的に高めます。

 

まとめ──AIが切り拓く組織知の未来

暗黙知は企業の競争力の根幹であり、それを形式知化することで教育、品質、生産性、イノベーションのすべてを次のレベルへ押し上げることができます。言語化の難しさや組織文化の壁といった多層的な課題も、AIのマルチモーダル解析、NLP、推論エンジン、継続学習の力を借りれば克服可能です。

Teradataは、データ×AIの最新ソリューション「Teradata Vantage AI Offering」で日本企業の暗黙知の形式知化、さらにはAIドリブン経営を支援しています。

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